鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
妙な緊張感に侵食されそうだったけれど、隼のぬくもりがあるだけで、こうも違うものなんだと改めて思い知った瞬間だった。
それだけじゃなく。耳元には、切な気な声音で、まるで噛みしめるようにして、「侑李」と隼に囁かれたものだから。
驚くやら嬉しいやら、私の頭の中は大忙しだ。
だって、今までずっと”さん付け”で、たまに呼び捨てされても、セックスの時に口にする譫言のようなモノばかりで、ちゃんと呼ばれたのなんて、初めてなんだもん。
もっともっと聞きたくなって、欲張りな私が、「もっと呼んでほしい」そう言えば。
「そんなふうに言われると、意識しすぎて呼べなくなるんです。それだけ、僕にとって侑李さんは特別なんです」
ーーそんな言い方ズルイ! ”さん付け”に戻っちゃってるし。
そうは思いながらも、そんなふうに言われて嬉しくないはずがない。
それに、目では確認のしようがないけど、隼の拗ねたような口調でボソボソと呟きを落とすように返された返事が、照れているからなんだと思ったら、無性に愛おしくて堪らない気持ちになる。
……自分でも単純すぎるって呆れてしまうけど。
隼にならなにをされても構わない。隼のためならなんだってしてあげたい。その想いがより一層強まっていくーー。
そこへすかさず、
「だから慣れるまでは”さん付け”で許してください」
そう囁きかけてきた隼によって、チュッとこめかみに甘やかなキスをお見舞いされてしまったから、尚更だった。