【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

「お、お仕置きってどんな……」

 これ以上にないってくらいの羞恥を堪《こら》えて、何でもないふうを装って答えたというのに。

「お仕置きはお仕置きですよ。嫌ならもういいです」

 隼はまだ怒っているのか、はたまた私の言葉が気に入らなかったのか。

 すっと微笑を引っ込めると、今度は無表情を決め込んで、ときおり見せるあの冷ややかな眼差しで私のことを見下ろしてきて、なんとも素っ気ない言葉を放ってきた。

 なんだか試されているような気がして(実際、試されているんだろう)、たちまち緊張感に襲われてしまった私は、思わずゴクリと唾を飲み下した。

 ええい、と思い切るようにして覚悟を決めて、隼の気が変わってしまわないよう慎重に言葉を選んで。

「……お、お仕置き、して……ください」

 たった数秒前に覚悟を決めたというのに、妙な緊張感のせいか、放った声が上擦りそうになったけれど、途切れ途切れになりながらもなんとか絞り出すことができた。

 ……それは良かったのだが、なんだか、ご主人様にお仕置きを乞うている召使いにでもなったような心地だ。
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