【紙コミックス①②巻発売中】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
その甲斐あって、一時はどうなることかと思ったけれど、なんとか隼から、「分かりました」という了承の言葉をもらえたのだった。
けれど、ほっとしたのも束の間。
「じゃぁ、侑李さんの部屋に移動しましょうか?」
隼にさも当たり前のようにそう尋ねられても、その意図がまったくもって掴めない。
「ーーえ!? なんで?」
私は、首を傾げることしかできないでいた。
「『なんで』って、このベッドだと拘束具を固定することができませんから」
こともなげにそう言ってきた隼。
その言葉でようやく意図が分かり、ドキンと心臓が大きく跳ね上がった。
さっきまで使用していた寝室のベッドはレザーの背もたれタイプで、確かに固定できそうにない。
対して、私にあてがってくれている部屋のセミダブルベッドには(一度も使ったことがないから記憶があやふやだけれど)ウッド製のヘッドボードとフッドボードが付いていた、様な気がする。
ベッドを思い浮かべた私の脳内には、そこに手足を固定された自分の姿が映し出され、全身がカアっと熱くなった。
動揺を隠せないでいる私の心情なんてまるで興味がないといった様子で。
「ほら、行きますよ?」
呆然と突っ立っている私の手首を掴むと、ずかずかと廊下へ出て、隣の部屋へと歩き出してしまった隼。
強引に手を引かれて足が縺れそうになる。
「あっ、ちょ、ちょっと待ってっ」
隼の背中をなんとか追いかけつつ、声を放つも。
「無理です。もう限界です」
さっき中途半端に中断したせいか、隼からは余裕なさげな声音が返ってくるだけだった。