鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
鳳凰堂デパートは、老舗高級チョコレートブランド『YAMATO』にとっても上お得意様だ。
なんでも創業者が親友同士だったこともあり、時代が移り変わって代替わりした今でも変わらず『YAMATO』をご贔屓にしてくださっていると聞いている。
なにより気にかかったのが、彼女に『隼』と呼ばれたとき、一瞬とっても気まずそうな表情を覗かせた隼のことだった。
突然のことで驚いただけだったのかもしれないし、私の思い過ごしだったのかもしれないけれど。
女性らしいスタイルといい。如何にも我儘で高飛車なお嬢様って感じで、気が強そうな性格といい。隼の好みにピッタリなことから、もしかしたらセフレだったのかもしれない。
話を聞いていた限りでは、隼とは海外を拠点に活動を始めて以来会ってなかったらしく。
軽く挨拶を交わしてからしばらくの間、『懐かしいわぁ』とかいいながら、蔵本には目もくれず、やけに馴れ馴れしく隼にばかり話しかけていたような気がするし。
そして最後に。
「創立記念パーティー、隼も来てくれるんでしょう?」
「……いえ、社長である兄が出席する予定になっていますので」
「ダメよ。隼も出席してちょうだい。募る話もあるし。あっ、そうだわぁ。高梨さん……て、おしゃってたかしら。高梨さんもご一緒にお連れして? それならいいでしょう? 改めて招待状も送らせてもらうから。ねぇ、隼、分かった? 絶対よ?」
「……分かりました」
いつになく歯切れの悪い隼に、無理矢理ともとれる強引さで、押し切るようにして約束を取り付けた円城寺さやかさんは、車に待たせていたらしいマネージャーらしき男性のお迎えにより『くらや』を後にしたのだった。