鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
円城寺さやかさんが店を出てほどなくして、私たちも『くらや』を後にした。
そして夕食には、近くのお寿司屋さんでお腹を満たし、現在は蔵本の運転する車で隼のマンションへと向かっているのだが……。
『くらや』を出てからというもの、当たり障りのない話はしていたものの、誰も、円城寺さやかさんのことについては、何一つ触れようとはしなかったし。
隼と長い付き合いである蔵本も、隼に合わせているのか、そのことについては口を噤んだままだった。
私も私で、何も口にしない隼と蔵本の様子から、やっぱり何かがあるんだ、と勘ぐっていたのが確信となり、隼と円城寺さんとの関係が気にはなりつつも、怖くて訊けないというのが本音だ。
お品書きに値段の表記のない高級感漂うお寿司屋さんから出て暫くして、見慣れた大通りに差し掛かった頃には、朝から降り続けていた小雨ももうすっかり上がっていて。
車窓を覆い尽くしていたキラキラと煌めく光の粒ももう僅かにしか残ってはいなかった。
遮るものがなくなってクリアになった、車窓の移りゆく都会の煌びやかな景色をぼんやりと眺めていた時。
ずっと押し黙ったままだった蔵本が耐えかねたっていうように、思い切るようにして、突如、ずっしりと重苦しい車内の沈黙を破った。
「……隼、お前のことだから、高梨に嫌な想いをさせたくないとか、高梨に誤解されたくないからって、何も言わないんだろうけど、それ、間違ってんぞ」