鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
円城寺さんは、蔵本の姿にあからさまに落胆した素振りを見せつつも、穏やかに三人で呑んでいたらしいのだが。
蔵本に急な呼び出しが入って、帰る口実ができこれ幸い、と隼も一緒に帰ろうとした際。
「梨沙子《りさこ》と圭《けい》が来るまで付き合ってくれてもいいでしょ〜? 傷心の友人を放って帰るなんて酷いじゃないッ! ね〜、はやとぉ〜、かえっちゃヤ〜ダ〜ッ!!」
蔵本に急用の着信がある少し前に呼び出した大学の同窓生である共通の男女の友人が来るまで、そう言ってネクタイとジャケットの裾を掴んでグイグイ引っ張られ足止めされてしまった隼。
相当酔っていたこともあって大きな声で駄々をこねる円城寺さんのことを黙らせるためにも、隼は仕方なく残ることにしたらしい。
おそらく隼にしてみれば、パリコレのファッションモデルである彼女は、騒がずとも存在自体人目も引くだろうから、騒ぎになっても困るし、そのままにはできなかったのだろう。
すぐに友人も来ることになっていたし、来たら二人に任せて、早々に帰るつもりでいたらしい。
……てことで暫くの間、彼女と二人で友人を待っていたところ、急に酔いが回ってしまった隼が気づいた時には。
これまたお決まりのパターンで、彼女が宿泊していたスイートルームのキングサイズのベッドで一糸纏わぬあられもない姿で目を覚ましたのだという。
そしてその隣には、これまたお決まりのように、隼と同様のあられもない姿の彼女が寝息を立てていたそうで。
ーーヤラレタ。
何を思うよりも真っ先にその文字が頭に浮かんだという隼。
確かに当時、国内外問わず出張続きで、多忙を極めていたらしいが、いくらなんでも酔い潰れるほど疲れてはいなかったらしく。
何かを盛られたとしか思えなかったらしい。
というのも、隼の祖父(今でこそ大病を患い呑む量も減ったそうだが)が相当の酒豪だったことから、よく相手をしていたお陰で鍛えられていたため、お酒に呑まれたことなど一度もないんだそうだ。