鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
一方の彼女は、それを機に『付き合いたい』と言ってきたらしい。
やっぱり目的はそれか、と呆れながらも、泥酔していたら使い物になんてなるはずもないだろうし、全くそういった痕跡もなかったため。
『以前にもお伝えした通り、あなたの気持ちにはお応えできません。もし、何かあれば責任は取りますけど、そのときは法的手段をとらせて頂きますので。そのおつもりで』
二度とこんな茶番に付き合わされないためにも、相当キツイ口調で釘を刺した隼の頑なな態度に、円城寺さんも流石に諦めたのか反論もなかったらしい。
蔵本に言わせれば、
「あーいう自信満々でプライドの高い女は、自分がフラれるなんて夢にも思ってなかっただろうから。ハッキリ断られてショックで何も言えなかったんじゃないか? さっきも、『本当に懐かしいわぁ、五年ぶりかしら?』なんて、スッカリなかったことにされてたしなぁ。女ってこえーよな〜」ということらしかった。
実際、蔵本の言葉通りで、その後とくになんの音沙汰もなく月日が流れ、今に至るということだったので、そういうことなんだろう。
ただ、昔から我儘なご令嬢を絵に描いたような、自分の思い通りにならないことが許せないというような性格というのもあり、また何かを企んでないとも言い切れず、手放しで安心できないとも言っていた。
……そんなこともあり、円城寺さんとの経緯を聞き終え、当初抱いていた不安は薄れたものの、モヤモヤしたものが残ってしまった。
「……あんなことしたから、きっとバチが当たったんだ」
円城寺さんとのことを話し終えて間もなく、何やら遠くを見つめるような素振りを見せた隼がボソッと何かを呟いたようだったけれど。
思考をモヤモヤとしたモノで覆い尽くされてしまってた私は、その声を拾うことはなかった。