鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
スッカリ暗い雰囲気に侵食されてしまってた車内が、徐々にいつもの明るさと和やかさを取り戻していく。
もっともっと雰囲気を明るくするためにも、私は続け様に。
「それに、瞬間湯沸かし器みたいに気の短いこの私が、何か言われたからって大人しく黙っていられると思う? 育ちの良いご令嬢なんか屁でもないわよッ!」
声高らかに明るい口調で面白可笑しく言い放った。
「確かに。誰彼かまわず、チンピラにまで啖呵切るような高梨なら、誰にも負けそうにないな? 隼、頼もしい彼女で良かったな?」
「……」
「他人《ひと》に言われるとムカつくんですけど? 特に、口の悪〜い蔵本さんに言われたら《《余計に》》ッ」
「フンッ、いつもお上品な隼と違って、口が悪くて悪かったなぁ。でも、お前よりはマシだってのッ」
「そんなことないと思うんですけど? ねぇ? 隼」
「……えぇ、まったく違いますね」
「うっせーよッ」
ハハハなんて軽く笑い飛ばしておちゃらけてきた蔵本に対して、隼はなんだか複雑そうに苦笑を漏らすだけだったけれど、それからはいつものように、車内は終始和やかなムードに満たされていた。
程なくして、いつものようにマンションへと帰り着き、隼のエスコートによってエレベーターに乗り込んだ刹那。
「……え、ちょっ……隼?」
私の身体が何故かふいにグラリと傾いたかと思った時には、既に隼の逞しい腕によって背後から強い力で抱きしめられた後だった。