鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
動き出したエレベーターの微かな音に紛れて、私の声が響き渡っている。そこへ。
「侑李さん……」
隼の切なげな声音と心音と体温とが服越しに重なりあった互いの身体から、切ないくらいにじんわりと伝わってくる。
蔵本と話している間にも、どこか元気がなかった様子の隼。
まだ不安な気持ちが拭えずにいるんだろうことは予測していたけれど、やっぱりそうだったようだ。
もしかしたら、友人である蔵本が居たから必死で抑え込んでいたのかもしれない。
そう思うと、隼の友人である蔵本相手だというのに、否、だからこそ余計に嬉しかった。
私には、そういう弱いところも曝け出そうとしてくれてるってことがーー。
「ん? な〜に?」
もっともっと隼がそういう心の内を少しでも吐き出しやすくするために、極々自然にさりげなくやんわり先を促してみる。けれども。
「……呼んでみただけです」
明らかに何かを口にするのを躊躇っているような一拍の間を置いて、本当に言いたいことを言い出せずにいる様子の隼。
そんな不器用な隼のことがどうしようもなく愛おしい。
ーー隼の不安な想いを少しでも和らげてあげたい。そして、私だって同じように不安になってしまうくらい、こんなにも隼のことを想っていることを、ひとつ残らず全部全部教えてあげたい。