鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
私がそんなことを考えている間にも、隼は不安で堪らないっていうように、私のことを包み込んでいる腕になおも力を込めてぎゅぎゅうっと強く抱きついてくる。
不安な想いでいる隼には申し訳ないけど、それが無性に可愛らしくて。
「ふふっ。そんな……都市伝説みたいなこと信じてるの?」
不安な隼を安心させようと思っていたはずが、思わず笑みまで零してしまっていた。
「……馬鹿だって言いたいんでしょう? いいですよ? もっと笑ってくれても」
隼に、馬鹿にされた、そう解釈されても仕方がないと思う。
相変わらず私にバッグハグを決め込んだままでいる隼は、私の項に顔を埋めたままで放った声音同様すっかり拗ねてしまっているご様子だ。
そういうちょっと子供じみたところも、私のことをより一層惹きつける要素でしかないのに……。
ってことにも、きっと気づいてなどいないんだろう。だから。
「ううん。そんなこと思ってないし、笑ったりもしない。そんなに不安になるくらい隼に想ってもらえてるってことが、どうしようもなく嬉しいなぁ……って、思っただけ」
隼にちゃんと伝わるようにと思って放った私の言葉にも。
「……侑李さんは、ずいぶん余裕なんですね? 僕なんか怖くてたまらないのに。恋愛経験のある侑李さんとは違って、誰とも付き合ったことのなかった僕には、余裕なんてないし。誰かを好きになるってことが、こんなにも苦しくて、こんなにも辛いなんて……そんなことでさえも知らなかったのに」
どこかムッとしたような拗ねたような、悔しそうな、様々な感情が綯交《ないま》ぜになったような、そんな声音を返してくる隼。
どうやら隼から見た私には、ずいぶんと余裕があるように見えているらしい。
しかも隼の言葉には、元カレに対しての嫉妬心が含まれているようにしか聞こえない。
あたかも男子高校生が放っているのかと勘違いしそうなくらいの、嫉妬心丸出しの言葉のオンパレードに、隼への愛おしさはますます溢れるばかりだ。