鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
その後もしばらくの間、蔵本とくだらない言い合いをしていると、そこに通話を終えて帰ってきた隼が後部座席のドアを開けてエスコートしてくれて。
「何か急用だったんじゃないの?」
降車際にそれとなく尋ねてみるも。
「あぁ、いえ、何も問題ありませんよ。それより、やっぱりこのドレスにして正解でしたね」
「……」
隼にやんわりと話題を逸らされてしまい、怪訝な表情で隼の顔を見据えてみても。
この日のために隼が見立ててくれた、クラシカルなネイビーのセミアフタヌーンドレスに身を包んだ私が羽織っている上品なシルバーのボレロを隼がゆっくりずらしながら露わになった首元に指を這わしつつ。
「色白の侑李によく似合っていて、メチャクチャ綺麗だよ。今すぐ項にむしゃぶりつきたいくらい色っぽいし」
耳元で、甘やかな声音で意味深なことを囁かれてしまえば。
『YAMATO』のラウンジでドレスを見立ててくれていたとき、試着室で首筋や胸元に幾つものキスマークを付けられたときの羞恥を思い出してしまった私の頭は、そのことで一杯になってきて。
「////だ、ダメ。そんなことしたらパーティーに出られなくなっちゃうでしょッ!」
「冗談だよ、冗談」
「隼が言ったら冗談に聞こえないんだけど」
「そんなに怒ったら折角のドレスが台無しですよ? さぁ、行きましょう? ほら」
「……うん」
いつものように怒ってしまった私は、隼に宥められつつエスコートされて、パーティー会場に向かう前に立ち寄った鳳凰堂デパートへと足を踏み入れる寸前のことだ。
いきなりぐいと腰を引き寄せられて、気づいた時には後ろから抱きしめられていて。
「侑李。もしかして、さっきの電話の声聞こえてた?」
「……櫻井さんだったんでしょ?」
「うん。さっき誤魔化したのは、侑李に余計な心配かけると思ってのことだから、安心してほしい。あのストーカー男の父親もパーティーに出席するって聞いて、念の為に連絡とってただけだから、僕のこと信じてほしい。僕が大事なのは侑李だけだから」
「……ちょ、ちょっと不安だっただけで、別に隼のこと疑ってた訳じゃないから」
「嫉妬してくれたんでしょ? 嬉しいなぁ」
「ち、違うしッ!」
全部お見通しだったらしい隼が包み隠さず話してくれて、ようやくホッと安堵することもでき。
「慌てた侑李も可愛いなぁ。楽しみは帰ってからにとっておくとして、そろそろ行こうか?」
そういって私のことを解放してくれた隼によって再びエスコートされて、今度こそ鳳凰堂デパートに足を踏み入れたのだった。
鳳凰堂デパートに入ってすぐ、女性社員によって案内された高層階の社長室には、既に円城寺社長とさやかさんとが居て。
現在、私と隼は、中央に置かれた応接セットで円城寺親子とその顧問弁護士である年配の男性と対峙しているところだ。