鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
初めてご挨拶に伺った神宮寺家で、要さんから円城寺さやかさんの話を聞かされたときには、一体どうなることかと案じていたけれど、案外あっさりと解決したことに拍子抜けだった。
けれどもその裏には、要さんや隼の根回しがあったようだ。
その証拠に、鳳凰堂デパートの社長室を退室した直後、隼と私のことを追いかけるようにして、「隼くん」と、円城寺社長に呼び止められて。
「隼くんにも、『橘』のお嬢さんにも、不快な思いをさせてしまい、すまなかったね」
「あぁ、いえ、事を荒立てたくはありませんでしたので、こちらこそ助かりました」
「いや、とんでもない。娘が迷惑をかけたというのに、いくら娘にお灸をすえるためとはいえ、わざわざ足を運んで貰って、本当に申し訳なく思っているよ」
隼と私に詫びながら深々と頭を下げてきた円城寺社長の言葉からも、今日の事が前もって計画されていたことは明白だった。
円城寺さやかさんとの件が一件落着してホッとしたせいか、心ここにあらずでボーッとふたりのやりとりに耳を傾けていたけれど。
「パーティーなんて顔出しだけで構わないんだ。ホテルに部屋を用意してあるから、お嬢さんをゆっくりと休ませてあげるといい。随分と疲れているようだから」
最後にそう言って、私のことを気遣ってくださった円城寺社長の言葉のお陰で。
円城寺社長と顧問弁護士に秘書の方らにエレベーターの扉が閉まるまで見送られて、扉が閉まったと同時。
円城寺社長の言葉を真に受けたらしい隼によって、ヒョイと軽々抱き上げられた私はお姫様抱っこされてしまっていた。
「えっ、ちょっと、隼。そんなことしなくても、私疲れてなんかないわよ?」
「ダメだよ。侑李はすぐに無理するんだから」
「ヤダ、こんなの恥ずかしいからおろしてッ!」
「僕の言うことが聞けないなら、今すぐお仕置きとして目立つところにキスマークを付けるけど、いい?」
「……わ、分かったわよ」
「素直でよろしい」
はじめこそ抵抗していた私だったけれど、結局は隼の言葉に素直に応じる羽目になっていて。
パーティー会場である帝都ホテルの、円城寺社長が用意してくださった部屋に足を踏み入れるまでの間ずっと隼にお姫様抱っこされることとなった。