鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
「――まぁ、そういう訳で、こちらに侑李さんをお連れしたという訳です」
「あのバカ兄貴! そんなに実家暮らしの婚約者の恵子《けいこ》さんと一緒に過ごしたいなら、ホテルでもどこでも行けばいいじゃない。どうせ、結婚資金貯めるためにケチってんでしょうけど。そんなことでイチイチ振り回されるこっちの身にもなってほしいわ。だいたい、誰のせいでこんなことになってると思ってんのよ。何が”朝チュン”よ、まったくっ! あーもう、イライラするっ!」
身なりを整え、鬼畜にこうなった経緯《いきさつ》を聞かされた私は、これ以上にないってくらい苛立っていた。
もう、苛立ちを通り越して、今にも、大噴火を起こしてしまいそうだ。
……というのも、本人である私を差し置いて、鬼畜との結婚をほのめかし始めたバカ兄貴に、激怒して啖呵を切った私が、思っていた以上にお酒に酔っていたお陰で、意識を飛ばしてしまったところ。
隣の鬼畜に抱きとめられ、起きる素振りのない私の様子を窺いつつ、あのバカ兄貴が、「あぁ、困ったなぁ……」と大きな呟きを零したことにより。
「いかがされました?」
「……実は、この後、婚約者との先約がありまして。彼女を迎えに行かないとならないんです。まぁ、理由を話せば彼女も何も言わないと思いますが。例の友人の借金の件で、ずいぶん心配させてしまったので。今日は、そのお詫びも兼ねてと思っていたので、申し訳ないなと思いまして」