鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
もっとゆっくり侑李とふたりだけでこの喜びを分かち合っていたかったけれど、そうゆっくりもしてはいられなかった。
しばらくすると、僕たちを邪魔するように病室に現れた譲さんの後に続いて現れた譲さんの義理の妹。
僕の同級生であり、これから侑李の担当医となるらしい産婦人科医の小石川香澄さんによる診察が始まったからだ。
勿論、男である譲さんには即刻出て行ってもらった。
その際。
『俺、一応、医者なんだけど』
とかなんとか言いながら居座ろうとしていたので。
『そんなに居たいなら、奧さんの小百合さんに、若い看護師で飽き足らず、患者までナンパしてたって、密告しておきますから』
僕は父親らしく紳士的な対応で、聞き分けのない譲さんのことをしっかりと窘めておいた。
そうして行われた、検査室に場所を移しての経膣エコー検査では……。
まだ人の姿にはほど遠い、小さな豆粒のようだったけれど、侑李と自分の子供だと思うと、なんとも言い尽くせないほどの愛おしさが込み上げてきて。
気づけば、僕は思わず涙ぐんでしまっていた。
勿論、侑李や、特にこういうのを見ると、人のことを弄りたくなると言う、少々困った性質の香澄さんには、くれぐれも気づかれないように、ひっそりと。
人知れず目尻の涙を指で拭いつつ、これからの説明に熱心に耳を傾けている侑李の傍で、僕はエコー写真を手にしたまま食い入るように見つめ続けていた。
そんなこんなで、なんとも幸せな時間を経て、病院を出る頃には、これからのことで頭はいっぱいになっていて。
真っ先に浮かんだのが、侑李の家族のことだった。
ーー何を置いても、真っ先に報告しなければ。
そう思っていた僕は、
『そんなに急がなくても。報告だけなら、別に電話でもいいんじゃない?』
気恥ずかしさからか、そんななんとも素っ気ないことをいう侑李をなんとか宥めすかし、病院を出た足で、高梨家へと向かったのだった。
始めこそビックリしていたお義父さんも侑磨さんも、数秒後には、大喜びしてくださって。
『いやぁ、婚約して、子供にも恵まれて、こんなにめでたいことはない。隼さん、侑李のことよろしくお願いしますね』
『ええ、勿論です。僕の命にかえても守り抜いて、一生かけて大事にさせて頂きますので。ご安心ください』
『こんなに大事に思ってもらえて、本当に果報者だなぁ、侑李は』
『本当に、良かったなぁ、侑李』
『お父さんもお兄ちゃんも、隼まで、そんなに泣かないでよー。私まで泣いちゃうじゃないのよ、もー』
四人でワイワイいいながらお祝いしていたのだけれど、いつしか全員で大号泣してしまっていた。
この日は一日、なんやかんやあったものの、こうして終わりよければ全て良し。生涯忘れられない一日となった。
それからはもう、一刻も早く侑李との入籍と結婚の準備を進めなくてはと、僕は仕事の合間を縫って、侑李との結婚に向けて奔走していたのだが……。
その矢先、身重の侑李の身体にある異変が現れ始めた。