【紙コミックス①②巻発売中】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
その男は、私の手形がくっきり付いているであろう左頬を押さえて、私のことを驚愕の表情を浮かべたまま凍り付いてしまっている。
……のだが、当然あのチャラい先輩だとばかり思っていたのに、蔵本涼だったものだから、今度は私の方が凍り付く番だった。
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あれから数分。
「……はぁ、参った参った。可愛い後輩を魔の手から救ってやったのに、まさか、こんな酷い目に遭わされるなんてなぁ」
これまでの経緯《いきさつ》を語り終えた蔵本は、床に長い足を投げ出して座りベッドに背中をもたげ、冷たい水を含ませたタオルを赤くなって痛々しい頬に当てながら、盛大な悪態をついている。
私はそれを、ベッド上に座ってミネラルウォーターの入ったペットボトル片手に、盛大な勘違いをしてしまった上に平手打ちまでお見舞いしてしまったことが申し訳なくて、小さくなりながらも話に耳を傾けていた。
でも、さっきのあの台詞を聞いたら、誰だって誤解すると思うんですけど!
まだまだ言いたいことは山ほどあったが、先に手を出したのは自分なので、黙るしかない。
お陰で、もう頭痛も眩暈もキレイさっぱり消え去ってしまっている。