鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
蔵本曰く、たまたまトイレに行った王子こと神宮司隼が明らかに酔い潰れている後輩を担いでお持ち帰りしようとしているチャラ男から私のことを助けてくれたらしい。
王子に呼ばれた蔵本が駆けつけた時には、どうやら私にウーロンハイを飲ませたらしいチャラい先輩も既に居なかったのだという。
そこに京香が現れ、門限が迫っていた京香がどうしたものかと思案してたため、意外にも下戸であるらしい蔵本が車で送ると言って助け舟を出してくれたらしかったのだが、途中で私が『キモチワルイ』と言い出し……。
急遽、最短だった蔵本の自宅マンションへと連れ帰ることになったらしい。
けれど吐き気がおさまった私は、そのままトイレの便器に寄りかかったまま寝落ちしてしまい、今に至るらしかった。
ミネラルウォーターを飲んだお陰か、気持ちもずいぶんと落ち着いてきて、頭もクリアになってきた。
ーー王子にもお礼言わないと。
「……そういえば、おう……神宮寺先輩は」
ふと浮かんできた疑問を口にしたところ。
「あぁ、隼なら、あんたが車でリバースしちゃって、汚れた自分のとあんたのジャケット洗うとか言ってたっけ。パウダールームの横のランドリースペースに居ると思うけど」
蔵本から、新たな自分の大失態を明かされてしまうことになり。
辺りを見渡せば、バッグはあれど、確かに羽織っていたノーカラージャケットが見当たらない。
助けてもらった上に、迷惑までかけてしまってたなんて……。
これ以上迷惑はかけられない。そう思い至った私は、
「蔵本先輩、パウダールームってどこですかッ?!」
蔵本に王子の居場所だけ確認すると。
「廊下の突き当りだけど、今いか」
即答してくれてすぐ、何かを言いかけていた蔵本の声も無視して、私は寝室から脱兎の如く飛び出した。
言われた通り廊下の突き当りのドアを開け放った刹那。
バスルームからちょうど出てきたであろう、素っ裸の水も滴る良い男状態の王子と対峙してしまった私は、色んな意味で大きな衝撃を食らってしまい。
そんな私同様に瞠目したままの王子と、しばしフリーズすること数秒。
「ギャーーッ!?」
大声を放ってしまった私は、さっき蔵本の話を最後まで聞かなかったことを猛烈に後悔する羽目になったのだった。