鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
大声を放ちながら掌で眼を覆い隠してはいるが、指の隙間からしっかりクッキリ見るところは見ているのだから、人間というのが、実に好奇心旺盛な生き物だってことを思い知った瞬間でもあった。
あたかもK−POPアイドルのような甘いマスクに程よく鍛えられた筋肉質の逞しい体躯。
厚い胸板に、割れた腹筋、極めつけには、立派なアレが「どうも」ってな具合にぶらんと頭をもたげている……ように見える。
父親のアレでさえも、小さな子供の頃にしか見たことないから、記憶にはないけれど。
ってか、今まで彼氏も居たことないから、実際には、お初にお目にかかったことになる。
色んな衝撃を食らってしまった所為で、大声は放つわ、心臓はドンドコドンドコ暴れだすわで、大パニックを起こしてしまった私の身体は限界に達してしまったのだろう。
私の大声を聞きつけたのだろう蔵本が様子を見に来たのか、パウダールームのドアを開けたまま突っ立っている私の背後から、
「えらい大声だったなぁ?」
呑気な声が流れ込んできた。そのタイミングで。
しっかりクッキリ色んなモノを映し出していたはずの私の視界が突然グラッとぐらついてしまうのだった。
どうやら私はめまいを起こしてしまったらしい。
「ーーえッ!? ちょっ……君ッ、大丈夫!?」
けれども、すんでのところで王子が抱き止めてくれたお陰で、ケガすることもなく。
けれども、抱き止めてくれた王子の腕の中で、ホッと胸を撫で下ろす間もなく。
慌てふためいた私は王子にお礼を述べて自力で立ち上がろうと、した刹那。
「……は、はい。ありがとう……ございま、ギャッーー!?」
運の悪いことに、手を突いたところが、王子のアレだったものだから堪らない。
「ーーッ!?」
手にはふにゃっとした王子のアレの感触が、鼓膜には王子の声にならない苦悶の声がダイレクトに伝わってくるものだから。
またまた大パニックを起こしてしまった私は、
「ギッヤーーーーッ!?」
三度目の大きな悲鳴を盛大に張り上げてしまっていたのだった。
きっとこれからの私の長い人生において、これほどの黒歴史は存在しないだろう、と思いたい。