鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
そんな今思い出しても恥ずかしすぎる出来事があってからというもの。
それ以来、サークルだったり、大学の構内だったりで、蔵本と王子の姿を見つけては、避けるようになった。
妙に、意識してしまっていたからだ。
あの黒歴史を思い出したくないと思っても、王子の姿を見かけるたびに、フラッシュバックしてしまうのだ。
あの鍛えられた逞しい腕や厚い胸板。そして、アレの感触などなどを。
そんな状態だった私にも彼氏ができ、それなりに楽しい大学生活を謳歌していたのだけれど。
彼氏とキスをしていても、彼氏とセックスをしていても、いつもいつも脳裏に浮かんでくるのは王子の姿だった。
そんなことが続いて、やっと王子のことを好きになってしまっていると気づいたところで、この時にはもう、王子と関わり合いになることもなくなっていて。
結局王子も、大学を卒業するまで、特定の彼女を一度も作ることはなかった。
だから別に告白しておけば良かったとか、そういう後悔の念を抱くこともなかった。
王子が大学を卒業してからは、私も王子のことを思い出すことも徐々になくなっていった。
その後、無事目標だった警視庁への入庁も果たし、警視庁のキャリアとして経験を積んで充実した社会人生活を謳歌していた。
入庁してもうすぐ三年、二十五歳になった頃。
確か、当時付き合っていた彼氏と身体の相性(というかぶっちゃけ性癖だけど)が合わずに別れてまだ間もない頃だっただろうか。
時々訪れていたバー『Charm』のカウンターで一人で呑んでいた時、蔵本と王子が現れて。
「冴子ちゃんってさぁ、俺より四つ下だったよねぇ?」
「……そうですけど」
「あっ、じゃぁ、蔵本や隼となら面識あったんじゃない?」
「……あっ、あんた。確か、隼に助けられてゲロった女だよな?」
「そう言えば、見覚えがあるような気がしますねぇ」
「ちょっと。そういう言い方やめてくれませんか?!」
「じゃあ、隼に抱きとめられて、アレ掴んだ挙げ句大騒ぎした女」
「////……ちょっと。それ以上言ったら、迷惑防止条例違反で逮捕するわよ!」
「まぁまぁ、そんなに怒らなくてもいいじゃありませんか? ここで会ったのもなにかの縁ですし、名刺交換でもいたしましょうか」
「////……え? あぁ、はい」
「へぇ、あんた、警視庁の刑事なんだぁ。じゃあ、俺も名刺交換しとこっと」
大学のOBだったバーのマスターの思わぬ一言から王子と関わるようになったのだった。
蔵本の発言に激怒していたはずが、気づけばニッコリと微笑みかけてきた王子と名刺交換までしていた。
それからは、蔵本が居てもいなくてもバーで会うと話すようにもなり。
いつしかセフレとしてバーに呼び出されてホテルへ行くようになるまで、お酒の力もあってか、さほど時間はかからなかった。