鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 翌日からは、あの噂通り、直接的な被害はないものの、クラスメイトである結城君ファンと思われる女子の態度がよそよそしくなって。

 元々、男子の話題やメイクの話で盛り上がっていた女子には馴染めずにいたから、そんなに大した変化があった訳でもないが……。

 それでも、もうあれから数カ月たって、もうすぐ夏休みを迎えようとしているのに、相変わらず陰でコソコソとあることないこと言われるている所為で、少なからずストレスにはなっていた。

 まぁ、すずは、変わらず一緒に居てくれたし、そういう陰口に対しても、耳にしたすずが訂正してくれているお陰で、結城君ファン以外の女子とは、これまで通りにできてはいるのだが……。

 それ以来、昼休みになるとお弁当持参で教室に現れるようになった結城君のお陰で、教室では悪目立ちしてしまうため、致し方なく、屋上で貴重なお昼休みを三人で過ごすようになっていた。

 当然、私は大反対だっのだが、人のいいすずは、シュンとしてしまった結城君のウルウルの円らな瞳攻撃によって、コロッと騙され、こんなことになってしまっている。

「わぁ! そのだし巻き玉子美味しそうだね?」
「……あっ、そう」
「あぁ、結城君、知らないんだっけ? 侑李の家、料亭やっててね? 五つ上のお兄ちゃんが板前で、いつもお弁当作ってくれてるんだって? すっごく美味しいんだよ?」
「へぇ、凄いなぁ? 羨ましい」
「もう、すず、結城君に個人情報教えるのやめてくんない?」
「いいじゃん、別に。ただのお友達なんだし。ねぇ? 結城君」
「うん。まぁ、僕としては、速くそれ以上になりたいんだけどねぇ」
「おっ、出た出た。結城君って、たまにそういうこと平然とサラッと言っちゃうよね? さっすがモテ男子」
「そういう言い方ヤメてよ? モテるって言っても、みんな僕の見かけばっかりしか見てないし。好きな子に全然なんとも思ってもらえなかったら意味ないよ」
「モテる男子も辛いねぇ? 侑李、そんなとこでふて寝してないで、慰めてあげたら?」
「なんで私が……。結城君、そんなとこですずとだべってないで、食べ終わったんなら、さっさと自分の教室に戻んなさいよ? ゆっくり昼寝ができないから、迷惑」
「あー、もう、侑李はそうやって、すぐに結城君のこと邪険にして。本当は、結城君のこと憎めないクセに」
「――えっ!? そうなの?」
「うん。侑李、なんやかんや言いつつ、楽しそうだもんっ」
「ちょっと、すず。あんたどっちの味方よ?」
「私は中立だよ~。でも、この機会に、侑李がちょっと色気づいてもいいかなぁ? とは思ってるけど」
「何それ? 意味わかんないし」
「それはイヤだな。高梨さんが色気づいて、これ以上モテちゃったらライバルが増えちゃうから」
「ちょっと、ふたりとも、変な言い方やめてよッ!」

 それに、すずは結城君のことが気に入ったらしく、私と結城君とをやたらくっつけようとしてくるものだから、最近は、結城君のことを妙に意識しまくって、過剰に反応示してしまう自分に戸惑ってばかりいた。
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