鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
期末試験も間近に迫っていたある日の昼休みのことだった。
その日、日直だったすずは、担任に用事を頼まれていて。屋上に着くなり、慌ただしくお弁当を食べ始め五分もすると完食したすずは、早々に職員室へと向かおうとしていた。
そのため、結城君とふたりきりになることを恐れた私も一緒に行こうと思っていたのに……。
そんなことなどとうにお見通しなすずに、
「あれ? 侑李ってば、結城君とふたりっきりになるのがそんなに嫌なの? もしかして、結城君のこと、意識しちゃってたりして」
「バッカじゃないのッ? そんなことあるワケないしッ!」
「だったら、別に私が居なくても大丈夫だよね? 結城君のこと、なんとも思ってないんだしさぁ?」
「あたりまえでしょッ」
ひくに引けない状況に追い込まれてしまった私は、泣く泣く結城君とふたりきりにさせられてしまうことになってしまったのだった。
「素直じゃないなぁ? 侑李は。でも、そういうところも可愛いんだもんねぇ? 結城君?」
「高梨さんの、その、ツンデレ具合が、もう、堪らないくらい可愛いよねぇ?」
「だよねぇ? だよねぇ?」
「もう、訳わかんないこと言ってないで、さっさと行っちゃいなさいよッ!」
「はい、はーい。行ってきまーすッ」
「行ってらっしゃ~いッ」
いつものようにすずと結城君が私のことで盛り上がっている姿を尻目に、内心穏やかじゃなかった私は、結城君には、なにがなんでも動揺を悟られたくなくて。
至っていつも通りに素っ気ない冷たい口調を心掛けていたつもりだったけれど……。
私の傍に置いてあったお弁当箱の入ったトートバッグを持ち上げる瞬間、意味深な笑みを浮かべたすずに、耳元で、
「進展、あるといいね?」
なんていう爆弾発言を投下されてしまった私は、食べかけていたご飯を喉に詰まらせそうになって、ゲホゲホむせるわ、瞬く間に顔を真っ赤にさせられてしまうわで散々だった。
それを、正面に座っていた結城君に、「高梨さん、大丈夫? 顔、真っ赤だよ?」なんて言われてしまうし。
すずには去り際に、「そんなに動揺しちゃって、侑李ってば、かーわいっ」なんて言われてしまい。
それからしばらくしても、真っ赤になった顔の熱はなかなかおさまってはくれないのだった。そればかりか、私の受難はこれだけでは済まなかった。