鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
結城君とふたりきりになったことだけでも、こういうことに不慣れで、免疫なんて持ち合わせていない私にとっては、一大事なことだったのに……。
進展どころか、階段を何段も一気に駆け上がったようなこの急展開に、この時大パニックを起こしてしまってた私の頭は、もはやショート寸前だった。
なんとかしてこの状況から逃れたい、なんて頭の片隅で思ってみても。
結城君に、頭を抱え込むようにして抱き寄せてられてしまっている私は身動きなんか取れないし。
眼前のドアップの結城君は、相変わらずなにやら苦しそうにギュッと瞼を閉じたままだし。
私の唇に尚も強引に自分の唇を押し当ててきて、一向に離してくれるような気配が見られない。
そればかりか、息が苦しくてもがいた私が口を金魚のように開いた途端、結城君の熱くてぬるっとした舌が口に捻じ込まれてしまった。
お陰で、さっきからやかましい心臓がドクンと大きく跳ね上がって。胸が苦しくて堪らない。
息継ぎも上手くできなくて、酸素が足りなくて頭はクラクラしてくるし。
結城君の熱い舌がメチャクチャに暴れまわっている所為かなにか知らないけど、どういう訳か身体がふにゃふにゃと今にも崩れ落ちてしまいそうだ。
――あぁ、もうダメだ。このまま死んじゃうのかな?
なんて考えが頭を掠めてきた時に、右胸の辺りに何かが触れてきたような気配がして。
――何?
そう思ったと同時に、今度は、胸をふにふにと揉まれるような感触に襲われてしまい。
……結城君に胸を揉まれてるんだ。
酸素不足でぼんやりとして覚束ない頭がそう認識した私の全身が沸騰どころか、爆発するんじゃないかと思うくらい熱くなってきた。
当然そんな経験なんてない私は、その初めて味わう感触に驚くよりも真っ先に、気色悪い、としか思えなくて。
「ちょっとっ、何やってんのよッ? この変態ッ!!」
気づいた時には、私は火事場のくそ力並みの力を発揮して、目の前の結城君のことを思いっきり突き飛ばしてしまっていた。