【完】スキャンダル・ヒロイン
「分かって欲しいのに…どうしてそんな不器用な生き方しか出来ないかな…。
本当の姫岡さんの中には素敵な気持ちがいっぱいあるのに…
それを理解されないのが悔しい…」

自分でも驚く事にそれは本心だった。
どこかもどかしくって、ひとりひとりに本当の姫岡さんを知って欲しいのに。
あの人はそんな人じゃないって。

「僕は静綺ちゃんのその言葉を真央くんに聞かせてあげたい」

カット!という言葉が現場に響き渡り拍手が巻き起こる。

フッと憑き物でも落ちたような姫岡さんの表情は元通り。監督が彼に笑顔をで何かを話しかけている。それに受け応えする姫岡さんは不器用な笑顔を作っている。

きっと彼は特別な人。

ワンシーンの撮影でも人の目を惹きつけてやまなくて、人の心に残り続ける。
けれど撮影を終えたらまたいつも通りに戻るのであろう。

あの小生意気な笑顔を向けて、特徴のある掠れたハスキーボイスできっとこう言うのだ。
’それ見ろ。俺ってすごいだろう?’って。

それを天才の一言では片付けたくない。ボロボロになった台本に…毎日欠かさないトレーニング。天性の才能だけではない。陰で人の何倍も努力をしている。

「でも本当の天才は昴くんの方かも。あの子は完璧な天才型だから。
真央くんはずっと努力の人だったのかもしれない。
けれどあの人ってそれを人に見せるの大嫌いだから
努力をする人っていうのは人の何倍も苦しんだ痛みを分かる人だ。
でもね、僕が姫岡真央のマネージャーである前にいちファンなのはその努力もあっての事だから。
確かに生まれながらに輝きを持っている人なんだけど、常に光りの中にいるのも眩しすぎて疲れちゃうからね。
それに努力を出来るって素敵な事じゃない?」
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