【完】スキャンダル・ヒロイン
昴さんの回答はいつだって100点満点だ。周りへの思いやりも欠かさない。
それに引き換え…不機嫌そうにご飯を口に運ぶこの男は…。
昴さんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいもんだ。
それでも嫌いな椎茸も人参も残さずぺろりとご飯を平らげ、まだ誰も帰って来ない寮内の食堂でソファーに座りテレビを見る。
昴さんはキッチンの隣に立って、後片付けを手伝ってくれている。こんな一般人の私にまで優しい。欠点なんてないのだろう。
「よし、後片付け終わりッ。」
「昴さんありがとうござます。私の仕事なのに…手伝って貰っちゃって…」
「いいんだよ。俺結構家事って好きだし。
それに静綺ちゃん本当は土日は休みなんだろう?
それなのに俺達のご飯まで作って貰っちゃって、ありがとうね」
「いえ!そんな全然良いんですよ。料理美味しいって言って貰えるの嬉しいし…好きなんです。人の為に作るの」
「そっか確か栄養学科の大学生さんだもんなぁー…」
あのー…さっきから昴さんとキッチンで会話をしていると
ずっと視線が突き刺さるんですが…しかもかなり恐ろしい。
綺麗な顔を歪ませると、それはそれで迫力がある。恨めしそうにこちらを見つめる真央の恐ろしい顔…。
瑠璃さんや豊さんと話している時はここまで怒らないのに、やっぱり昴さんに酷いコンプレックスがあるんだろうなぁ。まあこれだけ完璧な人が同じ世代で同じ業界にいればライバル視しても当たり前か。
「じゃあ俺先にシャワー浴びるね。そのまま部屋に行っちゃうから後でおいで」
「は、はいッ!」