【完】スキャンダル・ヒロイン
瑠璃さんと豊さん、そして昴さんの順番でそれぞれロケ現場や仕事場へ向かっていった。
昴さんに至ってはやはり超人気俳優。マネージャーの送り迎えがあるそうだ。
玄関先で彼を見送ると、今日も朝から爽やかな笑顔を見せてくれた。あ~…お金を払いたい位。朝から映画やドラマを見ている気分だよッ。
「じゃあ行ってきます。」
「はい。行ってらっしゃい。頑張って下さいねッ」
「へへ。なんか人に行ってらっしゃいって言われるのいいね。朝から元気になる。
それに今日も朝ご飯すごく美味しかった。やっぱり食事って大切だね」
「そう言って貰えると私も嬉しいです。」
「何か、彼女に振られちゃったのも忘れちゃうくらい、静綺ちゃんのご飯を食べると元気出るよ」
「大丈夫ですーッ昴さん素敵な人だからすぐに新しい彼女さんも出来ますッ。
まぁ…円城寺小雪さんレベルの子は中々芸能界でもいないと思いますけどー…」
「同業の子と付き合うのはちょっと疲れちゃったかな。
今度はもっと普通の子と付き合いたい、かな…。料理上手な子がいい」
スニーカーの靴紐を結び終えた昴さんはこちらを見上げて、笑った。
だからそういう所が人を勘違いさせるんですからね。でもまあ…彼がそういう性分なのはもう慣れた。
こっちだって悪い気はしないし、人との空気感を造るのが上手な人なのだと思う。
「じゃあね」
「はい。夕ご飯作って待ってます」
朝から良い気分。
しかし私の後ろでぴたりとくっついていて、負のオーラが包み込んでいるのに、とっくに気づいていた。