【完】スキャンダル・ヒロイン
「お前程度の女を俺が相手にするとでも思ったか?!」
「自分の容姿を鏡で確認してこい!」
「お前のようなクソみたいなファンがいるせいで俺たちは迷惑してんだよ!」
確かに私はあなたのような美しい男性に比べたらブスかもしれない。
あんたに言われなくたって21年間自分の顔はうんざりするほど鏡で確認してきた。
ファンでもなければ迷惑をかけたつもりもなかったし
いわれのない罪を押し付けられて、怒りは頂点に達していた。恐ろしさよりも怒りが勝った瞬間その男の顔をグーで殴りつけてしまった。
力なくその場に倒れ込む男を前に、どこかスカッとした気持ちになった。
しかし幕を開けてしまったのだ。人生史上最悪な出来事と、全く人の気持ちを考えない野蛮で傲慢な男と出会ってしまったが故
夢にも思わなかった生活が始まる事になる。
「痛ぇー…。」
一瞬気を失った男を前にオロオロとして悲鳴を上げていたら、浴室に慌てて一人の女性がやって来た。
パンツスーツをさらりと着こなす長い黒髪の洗練された女性だった。
目の前で倒れている男と真っ青に青ざめた私を交互に見て、乱暴に男を起き上がらせたと思ったら取り合えず事務室に来て、と言われた。
そして現在男は痛い痛いとこちらを睨みながら、保冷剤を頬に充てている。
どかりとソファーに腰を深くおろして、足を組む。…なんつー偉そうな態度だ。