【完】スキャンダル・ヒロイン

「だから大滝昴のポスターがッ!」

その名前を口にすると、真央と呼ばれる男は眉をぴくりと動かした。

「何だお前昴のファンなのか?やっぱり気持ち悪い女だな」

「真央は黙っていて頂戴!
そう。大滝昴もうちの事務所に所属するタレントです。
そしてここは…グリュッグエンターテイメントのタレントが暮らしている寮なのね」

「寮…?!」

この薄暗く、どこか陰湿なムードが漂う不気味な建物が?
大体芸能人と言うのはもっとキラキラしている場所に住んでいる物なのではないのだろうか…。

「とはいえここはもう余り使われていないの。昨年新設された新しい寮があって…
そちらには地方から来ている未成年の女の子たちが親元から離れて暮らしていたりとかね。
うちは大きな事務所だから、そうやって親御さんからタレントの卵なんてのも預かっているっていうパターンが多いのよ。
それに売れっ子も何人も抱える事務所だから、そういった売れっ子たちは都内で自分でマンションを借りて暮らしたりなんかしているのよ。
ここの寮は私達を含めてほんの数人しか住んでいないから、バイトと言ってもそう大変ではないと思うわ」

「はぁ……」

つまりは芸能事務所の管理している寮でのお世話係のようなものなのだろうか…。
いまいちピンとこなかったが…。

そしてここに住んでいる住人は…全員芸能関係の仕事をしているという事なのだろうか。
まるで自分の住んでいる世界とは違い過ぎてイメージが出来ないのだが。
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