【完】スキャンダル・ヒロイン
「大学では栄養学科を専攻しているのね。それならば安心だわ。
今はこの寮に住んでいる人間も少ないし、部屋は好きな所を使っていいから。
一応芸能事務所という事で守秘義務なんかもあるから、後で色々と書類も書いて貰わなくちゃいけないんだけど……」
「成る程……」
「でも今住んでいるのは売れない芸人の卵の男の子と、グラビアアイドルの女の子とスタッフの数人だから…そこまで大変って事もないと思うけれど」
なぁーんだ。
こんなに大きな建物なのに所属するタレントは数人しか住んでいないのか。
まぁ芸能人なんてさっして興味はないからいいけれど…。
と…言うか…。
私は’真央’と言うまるで女の子の名前のような美しい男を凝視した。
すると彼は足を組み腕を組んだまま、偉そうにフンッと鼻を鳴らす。
まさか……この人も芸能人なの?いや、芸能人でもおかしくない程美しい容姿をしているのだが…。
「あなたって…売れない芸人の卵なの?」
真剣な顔をしてそう訊ねると、男はソファーから立ち上がり顔を再び真っ赤にした。
あんたは瞬間湯沸かし器か…。
山之内さんはプッと吹き出し、顔を横に背けた。
男は立ち上がったかと思ったら、事務室内に無造作に置かれている雑誌を何冊か乱暴に手に取り、目の前のテーブルに叩きつけた。そして明らかな怒り声で叫び散らかした。
「俺のどこをどう見たら売れない芸人の卵に見えるってんだ!お前の目は節穴か?!」
「じゃあグラビアアイドルなの…?確かに女性みたいに美しい顔をしてはいるけど…
あ!それともスタッフさんなんですか?こうやって面接にも立ち会っているようですし…」