【完】スキャンダル・ヒロイン
こんな横暴なスタッフがいるとするのならば、私はこの職場ではやって行けそうにない。お断りしよう。そう思った時だった…。山之内さんの笑い声が宙高らかに響いたのは。
「あーはっはっはっ、あなたって面白い子ねぇ。ぷ。クスクス…真央がお笑い芸人とかグラビアアイドルなんて…ましてやスタッフですか?なんて
あーおっかしい!本当にテレビ見ないのね?芸能人にもあんまり興味ない感じ?」
「ご、ごめんなさい…。そういうのに疎くって…現代っ子なもんでテレビというよりかはネットつー感じで。
でも大滝昴さんは知っています!うちの大学でも大人気です!素敵な方ですよね」
そこまで言うと、さっき男が叩きつけたテーブルの上に置かれた雑誌が振動で揺れた。
雑誌を手で叩きつけ、私の目の前まで美しい顔を近づけると…ビー玉みたいに美しい茶色い瞳をこちらへ向ける。
こ、こわ………。思わず後ずさりをすると、男は雑誌を手に取り表紙をこちらへ見せつけた。
その雑誌はテレビ番組の情報誌で、表紙で爽やかな笑顔を作るイケメン。
そのイケメンが…目の前の男と被った。表紙にはデカデカと「姫岡 真央」と書かれていた。
「へ?」
男の手から雑誌を奪い取り、目の前の男と雑誌で爽やかな笑顔を浮かべるイケメンを見比べた。
「おんなじ顔…。双子なの…?」
その言葉に彼は青筋を立てて再び怒り狂った。
「あほか!お前。これは俺!俺は超超超人気イケメン俳優 姫岡真央だ!
俺を知らないとかお前どっかおかしいんじゃねぇのか?!」