【完】スキャンダル・ヒロイン
けれど疑問だった。
売れないお笑い芸人やテレビでは余りお見掛けしないグラビアアイドルであるのならば、給料も余り貰っちゃいないんだろう。…いや芸能界の事情は知らんけど。売れるまでは大変な時代がある位は芸能界に疎い私でも理解る。
だけど姫岡さんは…雑誌の表紙を飾っちゃうくらいの「超超超人気イケメン俳優(自称)」らしい。
だったら余裕で都内の高級マンションで暮らせるのではないだろうか。それが何故こんなお世辞にも綺麗とは言えない寮に暮らしているのだろう…。
「ごめんなさいね、あの子気性が荒いと言うか…少し我儘な所があるから」
「いえそんな…。私の方こそ姫岡真央さんという超超超人気イケメン俳優の逆鱗に触れるような事ばかり言っちゃって」
「ぷ、笑かさないで。あーッおっかしい。
でも本当に知らないの?姫岡真央を」
「全然…全く……。
けれどさっき初めて会った瞬間に人間離れした美しい人で…ただ者ではないとは思ってましたけど…
まさかそんな有名な人だったとは…」
「実は真央はここ1年はあまりドラマや映画には出ていないの。この雑誌たちも1年前の物ね…」
そう言って山之内さんは床に投げ捨てられた雑誌を拾い、片手で埃を払う。
少しだけ切ない横顔をしていたと思う。
「そうなんですか……」
仕事干されちゃったんだ…。可哀想に。あんな性格だから仕方がないと思うけれど…。
「あ、仕事を干されたとかそういう感じではなくって…。
今でも仕事のオファーは沢山来るの。CMとかの契約は何本かしているんだけど…
演技のお仕事は本人が乗り気じゃないと言うか…やりたくないって言ってて」
「へー…俳優なのに勿体ない…」