【完】スキャンダル・ヒロイン

「でもそんな人気があるのに…寮で暮らしているんですか?」

素朴な疑問を口にすると、山之内さんはやっぱり少しだけ悲しそうな顔をする。

「真央にはちょっと事情があって…今はこの寮で暮らして貰っているの。」

「大変ですねぇ~。私芸能界の事は何にも分からないけど…あんな我儘ですぐ怒る人は…少し嫌です」

いや…少しではない。
かなーり嫌。

というか私住み込みでここでバイトするって事になるんだよね?
そう考えると…四六時中あの暴君と一緒にいなくちゃいけないの?

それは絶対に嫌! やっぱりこの話は慎んでお断りしよう。時給に目が眩んでしまったが、高時給にはそれだけ裏もあるって事だ。

「昔は……あんな子じゃなかったのよ……。
私の知っている姫岡真央はあんな子じゃなかった…」

昔というのは…子役時代の頃の話だろうか。
山之内さんは彼が子役時代からこの仕事をしているのだろうか。
だとすればこの人一体何歳?!どう見ても20代後半くらいにしか見えないんだけど。

「それに今だって…本当はあんな子ではないはずなの…。
傷つく事や辛い事が沢山あったから少しだけ捻くれちゃってるだけで、本当は良い子なのよ」

’少し’だけ?かなーりだとは思うけれど…。

私なんて今日数十分会った間だけでどれだけ悪口言われたか、挙句には殺人予告までされちゃって…。

悪いけれどやっぱりこの話はお断りしよう。あんな恐ろしい人と共同生活なんてやっていける自信はないし。
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