【完】スキャンダル・ヒロイン
夏が終わる。
人生で最悪の日から幕を開けた、夏がもう終わってしまう。
それからは終わりの日まで平穏な時間を過ごしていたかと思う。
寮の皆の分の料理を用意して、掃除をして、思い思いに過ごす。始めは真央は毎日寮に居て、一緒に過ごす時間が多かった。
けれど復帰を決めた真央の元には仕事がどんどん舞い込んできて、寮に居る時間はグッと減った。それでも寮に居る時は側に居て、変わらぬ態度で接してくれた。
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そして9月半ば――。
2か月半にも及ぶバイトが終わりを迎える。始まりがあれば、終わりもある。
この寮から出て行って、また普通の大学生活が始まるんだ。
山之内さんのはからいで、最後の夜に私の送別会が行われた。ちょっぴり照れ臭かったけれど、その気持ちが嬉しかった。
今はもうすっかり忙しくなってしまった真央も昴さんもその日は早く帰って来てくれて、皆揃って最後の食卓を囲む。
「嫌だよー静綺ちゃんがいなくなるなんてー瑠璃楽しかったのにー」
お酒の入った瑠璃さんはぎゃんぎゃん泣いてくれた。それを慰めるように隣で豊さんが瑠璃さんの頭をぽんぽんと叩く。
「瑠璃さん大袈裟ッ。バイトは終わりますけど…今度一緒にご飯行ったり買い物行ったりしましょうよ…!」
「絶対だよぉ~?瑠璃の事忘れないでね?連絡すっごくするからぁー。
あぁーもう静綺ちゃんの美味しいご飯が食べられ無くなるぅー!」
「瑠璃さん絶対忘れませんし、いつでも会えますから!
それに瑠璃さんがテレビに出るのは全部録画しますからねッ」