【完】スキャンダル・ヒロイン
最近瑠璃さんは深夜枠のバラエティによく出るようになった。
年上だけど、可愛らしくてスタイルの良い瑠璃さん。初めて会った時から直ぐ仲良くしてくれた。優しくて優しくて大好きだった。
だから私に抱き着いてぎゃんぎゃん泣いてくれて感謝しかない。
「確かに静綺ちゃんがいなくなったらあの美味しいご飯が食べれなくなるのは困る……
ご飯…ご飯…」
そう豊さんが瑠璃さんの隣で繰り返す。
つーか豊さんにとって私の存在ってご飯だけ?!
けれど知っている。
よく人を見ていて私の気持ちに寄り添ってくれた豊さん。
言葉は多い方じゃなかったけれど、その優しさはずっと伝わっていた。
「元気がなくなった時は俺のライブにおいで。
まぁー…そんなに売れっ子じゃないけどさ、ライブする時はチケットあげるから」
静かに微笑んでこっちを見た。
いつか笑えなくなった人を笑わせてあげる仕事だって自分の仕事に誇りを持っていた。
「ありがとう。でもチケットは自分で買いますッ」
「でも俺すごい人気になったらチケット早々取れなくなっちゃうかもよ~?」
「そうなったらファンクラブに入ります!」
「アハハ、ファンクラブが出来るように頑張ります」
少しだけお酒の入った豊さんはいつもよりよく笑っていた。
「静綺ちゃん今日はいっぱい食べて食べて」
そう言って坂上さんはお皿いっぱいに料理を取り分けてくれた。
送別会と言う事で坂上さんと山之内さんがお寿司やらオードブルやらを沢山デリバリーしてくれたのだ。