かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
くれはは、もう相手の方と会えたのかなあ。
彼女は彼女で、私とは別の外資系ホテルに父が場を設けている。自宅からだと全然別の方向になるから、一緒の車で来ることは叶わなかった。
「うー……」
妹の顔を思い出してまたさらに寂しい気持ちになってしまったのを自覚し、小さく唸りながらぺちりと自分の両頬を挟む。
もう、ここまで来たらなんとかしなきゃ。もともと私は、相手が期待する中身じゃないんだもの。適度にくれはのフリはするけれど、きっとところどころ素の私が自然と出るから、それだけでいい。
そうしたらきっと、お相手の男性は『思ってた感じと違うな』とがっかりしてくれて、このお見合いは必然的に破談になるはず。
それが目的だとしても自分を否定されるのは、なんだかちょっぴり、切ないような気もしなくはないけれど……だけど、これが私たち姉妹にとって、1番いい方法なんだ。
よし、と覚悟を決め、ひざの上で両手を握りしめた。──そのときだ。
「立花くれはさんですか?」
不意にすぐそばからそんな声が降ってきて、反射的にビクリと肩が揺れる。
ぎこちない動作で左斜め上に顔を向けた私は、そのまま思わず固まった。
傍らに立ってこちらを見下ろす、スーツ姿の男性。彼の持つオーラに圧倒され、息をするのも忘れてしまう。
彼女は彼女で、私とは別の外資系ホテルに父が場を設けている。自宅からだと全然別の方向になるから、一緒の車で来ることは叶わなかった。
「うー……」
妹の顔を思い出してまたさらに寂しい気持ちになってしまったのを自覚し、小さく唸りながらぺちりと自分の両頬を挟む。
もう、ここまで来たらなんとかしなきゃ。もともと私は、相手が期待する中身じゃないんだもの。適度にくれはのフリはするけれど、きっとところどころ素の私が自然と出るから、それだけでいい。
そうしたらきっと、お相手の男性は『思ってた感じと違うな』とがっかりしてくれて、このお見合いは必然的に破談になるはず。
それが目的だとしても自分を否定されるのは、なんだかちょっぴり、切ないような気もしなくはないけれど……だけど、これが私たち姉妹にとって、1番いい方法なんだ。
よし、と覚悟を決め、ひざの上で両手を握りしめた。──そのときだ。
「立花くれはさんですか?」
不意にすぐそばからそんな声が降ってきて、反射的にビクリと肩が揺れる。
ぎこちない動作で左斜め上に顔を向けた私は、そのまま思わず固まった。
傍らに立ってこちらを見下ろす、スーツ姿の男性。彼の持つオーラに圧倒され、息をするのも忘れてしまう。