かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
こんなにかっこよくて、スマートで、ひとつの会社のトップに立っているようなひとだから……こうして向かい合っていても、自分とは違う、どこか遠い世界に住んでいるみたいに感じていた。
けれども今、奥宮さんが話してくれた昔話を聞いて、ぐっと彼自身を身近に思う。そしてそれが、どうしようもなくうれしかった。
「……素敵な縁ですね。いいなあ」
自然に顔をほころばせて私がこぼすと、奥宮さんはイタズラっぽく笑いながらまたこちらを向く。
「立花さんも通ってくれるようになれば、マスターがよろこぶな。ここはワインも美味しいよ」
「あ……実は、メニューを見て気になってました。たくさん種類があるなって」
「本当? お酒、好きなんだ?」
「はい、とても──」
何も考えずにうなずいてから、ハッとした。
しまった。たしかに“私”は、お酒を飲むのが大好きだけど……今奥宮さんと一緒にいることになっているくれはは、アルコールを全然受け付けない下戸なのだ。
うっかりしていた。まったく正反対のことを伝えるのは、さすがにまずかったかもしれない。
口を閉じてどうしよう、どうしようとぐるぐる思考していた私へ、奥宮さんはなおも明るい口調で続ける。
「そっか、俺も好きだから一緒に飲めるのはうれしいな。よかったら近いうち、次はワイン目当てでここに来ようか。今度は、通常の営業時間に」
「え」
けれども今、奥宮さんが話してくれた昔話を聞いて、ぐっと彼自身を身近に思う。そしてそれが、どうしようもなくうれしかった。
「……素敵な縁ですね。いいなあ」
自然に顔をほころばせて私がこぼすと、奥宮さんはイタズラっぽく笑いながらまたこちらを向く。
「立花さんも通ってくれるようになれば、マスターがよろこぶな。ここはワインも美味しいよ」
「あ……実は、メニューを見て気になってました。たくさん種類があるなって」
「本当? お酒、好きなんだ?」
「はい、とても──」
何も考えずにうなずいてから、ハッとした。
しまった。たしかに“私”は、お酒を飲むのが大好きだけど……今奥宮さんと一緒にいることになっているくれはは、アルコールを全然受け付けない下戸なのだ。
うっかりしていた。まったく正反対のことを伝えるのは、さすがにまずかったかもしれない。
口を閉じてどうしよう、どうしようとぐるぐる思考していた私へ、奥宮さんはなおも明るい口調で続ける。
「そっか、俺も好きだから一緒に飲めるのはうれしいな。よかったら近いうち、次はワイン目当てでここに来ようか。今度は、通常の営業時間に」
「え」