かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
「ありがとう、ございます……え、えと、奥宮さんもラムレーズン食べてみますか? 買うときこれとも迷ってましたよね?」
多少無理やりに話題転換を図って、持っているジェラートを反対の人差し指で指し示す。
「いいの? じゃあ、お言葉に甘えてひと口もらおうかな」
すんなり話に乗ってくれて、ひそかにホッとした。「わかりました!」と明るい調子で答えながら、少し多めにスプーンですくい上げる。
「はい、どうぞ!」
ごくあたりまえのように、右手に持ったスプーンを奥宮さんに向かって笑顔で差し出した私は。
自分の言動に奥宮さんが目を丸くしたのを見て、はたと気づいた。
……これは、さすがに……!
「す……っみません、あの、いもう──っあ、姉と、よくこうしてなんでも分けて食べるので……っつい、癖でというか」
やってしまった。いくらなんでも馴れ馴れしすぎた。
絶望にも似た思いでワタワタと言い訳を並べる私を、奥宮さんが無言でじっと見下ろす。
そうして彼は、その身を屈めて──動揺しきりで居た堪れない私に向け、ゆっくりと顔を寄せてきた。
もう、まるですべてが、スローモーションに見えた。
奥宮さんの形のいい唇が開き、あたたかな陽気で僅かに表面が溶けかけたジェラートをぱくりと口に入れる。
伏せられた目にかかるまつ毛が、驚くほど長かった。至近距離の彼から香水か柔軟剤か、なんだかとてもいい香りがする。
よく見ると奥宮さんの瞳は、明るめのブラウンの中に光の加減によって緑色っぽく見えるところがあるのだと気づいた。……すごく、綺麗。
くわえたスプーンが少し引っぱられる感覚とともに、絶世の美貌が離れていく。
無意識に息を止める私の視線の先で、奥宮さんが自らの唇の端をペロリと舌で舐めた。
多少無理やりに話題転換を図って、持っているジェラートを反対の人差し指で指し示す。
「いいの? じゃあ、お言葉に甘えてひと口もらおうかな」
すんなり話に乗ってくれて、ひそかにホッとした。「わかりました!」と明るい調子で答えながら、少し多めにスプーンですくい上げる。
「はい、どうぞ!」
ごくあたりまえのように、右手に持ったスプーンを奥宮さんに向かって笑顔で差し出した私は。
自分の言動に奥宮さんが目を丸くしたのを見て、はたと気づいた。
……これは、さすがに……!
「す……っみません、あの、いもう──っあ、姉と、よくこうしてなんでも分けて食べるので……っつい、癖でというか」
やってしまった。いくらなんでも馴れ馴れしすぎた。
絶望にも似た思いでワタワタと言い訳を並べる私を、奥宮さんが無言でじっと見下ろす。
そうして彼は、その身を屈めて──動揺しきりで居た堪れない私に向け、ゆっくりと顔を寄せてきた。
もう、まるですべてが、スローモーションに見えた。
奥宮さんの形のいい唇が開き、あたたかな陽気で僅かに表面が溶けかけたジェラートをぱくりと口に入れる。
伏せられた目にかかるまつ毛が、驚くほど長かった。至近距離の彼から香水か柔軟剤か、なんだかとてもいい香りがする。
よく見ると奥宮さんの瞳は、明るめのブラウンの中に光の加減によって緑色っぽく見えるところがあるのだと気づいた。……すごく、綺麗。
くわえたスプーンが少し引っぱられる感覚とともに、絶世の美貌が離れていく。
無意識に息を止める私の視線の先で、奥宮さんが自らの唇の端をペロリと舌で舐めた。