かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
「ことはのお見合い相手の部下の人も、お父さんみたいな感じなのかな。なんか、妙に目をかけてるみたいだったし」
「うーん、どうだろうね」
「でもことはならきっと、相手がどんな人でも上手く付き合っていけるんだろうなあ」
そう言ったかと思うと、ぼすんとクッションに顔を埋める。
「……私は無理。仕事で関わるお客さん相手ならともかく、誰にでも合わせたりとかできない……イケメンで社長って、絶対上から目線の偉そうな性格してるんだよきっと。しかも、お父さんの話だと専業主婦になってもらいたがってるみたいだし……私、今の仕事辞めたくないのに」
「くれは……」
さっきまで不機嫌を全面に出していたかと思えば、くれはは泣きそうに切ない声を漏らす。
大事な妹のしおらしい様子に胸が締めつけられ、自然と眉尻が下がった。
気休めにもならないと思いつつ、手を伸ばしてよしよしとその頭を撫でる。
服飾系の専門学校を卒業後、くれはが約2年間働いた会社は、いわゆるブラック企業だった。
若者向けの有名アパレルブランドを展開する大きな会社だったのだけど、入社からしばらく経って新店舗の店長を任されたくれはの業務量は相当なものだったらしい。
ただでさえ経験の少ない新人なのにいきなり責任者として店を回す立場になってしまい、売上目標のプレッシャーに常に追われながら上司とバイトのスタッフたちに気を遣う日々。ゆっくり休みたいと思っても、シフトに穴が空けば代わりが見つからない限り自分が出勤して埋めざるを得ない。
同期や歳の近い先輩たちが次々とドロップアウトしていく中、人一倍負けず嫌いだったくれはは、そこで歯を食いしばって留まり続けた。
結果的に彼女は2年以上その会社に勤めていたのだけど、会うたびに心も身体もどんどん疲弊してすり減っていくくれはを見ているのが耐えられなくなって、最終的には私が泣きながら「お願いだからもう辞めて欲しい」と懇願し、なんとか退職してもらったのである。
「うーん、どうだろうね」
「でもことはならきっと、相手がどんな人でも上手く付き合っていけるんだろうなあ」
そう言ったかと思うと、ぼすんとクッションに顔を埋める。
「……私は無理。仕事で関わるお客さん相手ならともかく、誰にでも合わせたりとかできない……イケメンで社長って、絶対上から目線の偉そうな性格してるんだよきっと。しかも、お父さんの話だと専業主婦になってもらいたがってるみたいだし……私、今の仕事辞めたくないのに」
「くれは……」
さっきまで不機嫌を全面に出していたかと思えば、くれはは泣きそうに切ない声を漏らす。
大事な妹のしおらしい様子に胸が締めつけられ、自然と眉尻が下がった。
気休めにもならないと思いつつ、手を伸ばしてよしよしとその頭を撫でる。
服飾系の専門学校を卒業後、くれはが約2年間働いた会社は、いわゆるブラック企業だった。
若者向けの有名アパレルブランドを展開する大きな会社だったのだけど、入社からしばらく経って新店舗の店長を任されたくれはの業務量は相当なものだったらしい。
ただでさえ経験の少ない新人なのにいきなり責任者として店を回す立場になってしまい、売上目標のプレッシャーに常に追われながら上司とバイトのスタッフたちに気を遣う日々。ゆっくり休みたいと思っても、シフトに穴が空けば代わりが見つからない限り自分が出勤して埋めざるを得ない。
同期や歳の近い先輩たちが次々とドロップアウトしていく中、人一倍負けず嫌いだったくれはは、そこで歯を食いしばって留まり続けた。
結果的に彼女は2年以上その会社に勤めていたのだけど、会うたびに心も身体もどんどん疲弊してすり減っていくくれはを見ているのが耐えられなくなって、最終的には私が泣きながら「お願いだからもう辞めて欲しい」と懇願し、なんとか退職してもらったのである。