かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
このひととは……奥宮さんとは、いずれ縁を切らなければいけないのに。そうなるように、仕向けなければならないのに。
私は──妹の代わりに、ここにいるにすぎないのに。
責めるように自分へと言い聞かせながら、彼に向けていた視線を膝の上へと落とした。
「あ……あの、すみません、出過ぎた真似をしました。私が今言ったことは、全然気にしなくていいですから」
「どうして?」
取り繕う私の声に被せるように、奥宮さんが言った。
「え」、と思わず顔を上げた私と目が合うなり、彼は頬を緩める。
「俺は、立花さんに話を聞いて欲しい。ダメ?」
「え、だ……ダメじゃ、ないです」
「うん。じゃあ、聞いて」
ふわりと顔を綻ばせながら甘くささやかれて、反射的にうなずいた。
なんだか、最初にここに座ったときよりも妙に距離が近い気がする。それでも私はこれ以上何も言うことができず、ただ奥宮さんの話を待った。
「立花さんは【Billion】って会社、知ってる?」
ひとつ息を吐いたあと、彼が切り出したのはそんな質問だ。
思いがけない問いかけに一瞬きょとんとしてしまってから、私は首肯する。
「はい、もちろん知ってますよ。有名ですもん」
奥宮さんが言った【Billion】とは、テレビやオーディオ、スマートフォンやゲーム機などの電子機器を扱う、世界的にも有名な大企業だ。日本にいて、その名前を知らない人の方が少ないと思う。
かくいう私も、ポータブルオーディオプレーヤーなどで昔からお世話になっている。
私は──妹の代わりに、ここにいるにすぎないのに。
責めるように自分へと言い聞かせながら、彼に向けていた視線を膝の上へと落とした。
「あ……あの、すみません、出過ぎた真似をしました。私が今言ったことは、全然気にしなくていいですから」
「どうして?」
取り繕う私の声に被せるように、奥宮さんが言った。
「え」、と思わず顔を上げた私と目が合うなり、彼は頬を緩める。
「俺は、立花さんに話を聞いて欲しい。ダメ?」
「え、だ……ダメじゃ、ないです」
「うん。じゃあ、聞いて」
ふわりと顔を綻ばせながら甘くささやかれて、反射的にうなずいた。
なんだか、最初にここに座ったときよりも妙に距離が近い気がする。それでも私はこれ以上何も言うことができず、ただ奥宮さんの話を待った。
「立花さんは【Billion】って会社、知ってる?」
ひとつ息を吐いたあと、彼が切り出したのはそんな質問だ。
思いがけない問いかけに一瞬きょとんとしてしまってから、私は首肯する。
「はい、もちろん知ってますよ。有名ですもん」
奥宮さんが言った【Billion】とは、テレビやオーディオ、スマートフォンやゲーム機などの電子機器を扱う、世界的にも有名な大企業だ。日本にいて、その名前を知らない人の方が少ないと思う。
かくいう私も、ポータブルオーディオプレーヤーなどで昔からお世話になっている。