かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
「あ、あの、奥宮さんはふたり兄弟なんですね」
「ああうん。立花さんとは逆だね」
普通の調子で返してくれたことにひそかにホッとしつつ、会話を続ける。
「お父さまの跡継ぎということは、お兄さまは【Billion】に?」
「そうだよ。兄は、経営者としての父は純粋に尊敬してるから……まあ、父親としては反面教師にしてるらしいけど」
しれっと言った彼に、私は目をまたたかせた。
「あ……もしかして、お兄さまはもう結婚してらっしゃるんですか?」
「うん。もう5年も前に、自分で見つけた相手とさっさとくっついたよ。おかげで俺ばっかり、父から縁談話を聞かされて……」
苦笑のような表情を浮かべた奥宮さんは、そこで一旦言葉を切ると視線を前方に向ける。
つられて私もそちらを見れば、若い夫婦と小さな女の子が楽しげに手を繋いで歩く家族連れの姿があった。
「兄のところにも、3歳になったばかりの娘がいるんだ。反面教師は見事に役立ってるみたいで、家族仲もいいみたい。父親と夫の務めをきちんと果たしている兄は弟の俺から見てもすごいと思うし、うらやましいよ」
うらやましい、だなんて言いながら、まるで他人事みたいに話す横顔に、私はあえて明るく声をかける。
「奥宮さんだって、いつかお兄さまみたいになれますよ。素敵でかっこいい、旦那さん兼お父さん。私が保証します!」
きっと、くれはならこんなふうに伝えるはず。
ぐっと握りこぶしを作って笑顔で言えば、奥宮さんは虚をつかれたような表情をしたあと、やわらかな笑みをみせる。
「ああうん。立花さんとは逆だね」
普通の調子で返してくれたことにひそかにホッとしつつ、会話を続ける。
「お父さまの跡継ぎということは、お兄さまは【Billion】に?」
「そうだよ。兄は、経営者としての父は純粋に尊敬してるから……まあ、父親としては反面教師にしてるらしいけど」
しれっと言った彼に、私は目をまたたかせた。
「あ……もしかして、お兄さまはもう結婚してらっしゃるんですか?」
「うん。もう5年も前に、自分で見つけた相手とさっさとくっついたよ。おかげで俺ばっかり、父から縁談話を聞かされて……」
苦笑のような表情を浮かべた奥宮さんは、そこで一旦言葉を切ると視線を前方に向ける。
つられて私もそちらを見れば、若い夫婦と小さな女の子が楽しげに手を繋いで歩く家族連れの姿があった。
「兄のところにも、3歳になったばかりの娘がいるんだ。反面教師は見事に役立ってるみたいで、家族仲もいいみたい。父親と夫の務めをきちんと果たしている兄は弟の俺から見てもすごいと思うし、うらやましいよ」
うらやましい、だなんて言いながら、まるで他人事みたいに話す横顔に、私はあえて明るく声をかける。
「奥宮さんだって、いつかお兄さまみたいになれますよ。素敵でかっこいい、旦那さん兼お父さん。私が保証します!」
きっと、くれはならこんなふうに伝えるはず。
ぐっと握りこぶしを作って笑顔で言えば、奥宮さんは虚をつかれたような表情をしたあと、やわらかな笑みをみせる。