かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
「場所はホテルのラウンジだっけ……あまり堅苦しい感じにはしないって言ってたから、綺麗めなワンピースが無難かな。とりあえず当日はお父さんとお母さんにはついて来ないでもらって、メイクもヘアセットも家でしていけば問題なさそう。とにかく、家を出るまで絶対にお父さんたちにはバレないようにして……」
「くれは、聞いてるの?!」
「聞いてる聞いてる。大丈夫だって、前もよく入れ替わって遊んでたじゃない。お母さんにもめったに気づかれなかったし」
「そんな小さい頃の話を出されても困る……!」


今度こそ頭を抱え、大きなため息とともにうなだれる。

くれはの言う通り、私たちは昔『入れ替わりごっこ』なる遊びでしょっちゅう大人たちをからかっていた。

だけどそれは、まだ小学生の子どもだった頃の話。
この歳で、しかもお見合いの席だなんて大それた場面でする勇気も無邪気さも、今の私にあるわけなんてないのに……。


「ね、ことは。ことはだって、本当はお見合い結婚なんてしたくないんでしょ? だってことはは昔から、絵本に出てくる王子様との大恋愛に憧れてたじゃない」
「そ……っそんなの、この歳になってまで夢見てるわけないでしょ! さすがに白馬に乗った王子様なんて待ってないよ!?」
「まあ、それはさすがにねー」
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