微温的ストレイシープ


「あ、あの!こういうのはもうやめたほうがいいです」

「そうだよねぇ、もうやめなきゃだよねぇ」



言葉では納得しているようなのに、服のなかに潜り込む手は止まらない。


それに……いちばん、気がかりだったのはこの人の目だった。


いままでに何度も見てきた、この獣のような、虚無すらも感じる瞳。



虎牙さんも、ユキノさんも、……記憶のなかのお父さんお母さんも。


みんな同じ目をしてわたしを見ていた。





「っ、や、まって……!」

「大丈夫だよ、痛くはしないからね。イイコトいっぱいしてあげるからねぇ」



遠慮のない手に肌がざわりと粟立つ。


ぐっと目をつぶって、耐えるようにうつむいた。



……ときだった。







ひゅっと風を切る音がした。


それだけでなにが起きたのかわかってしまう。



……それだけ。

それだけ、わたしはこの人に助けられていた。







「おい、おっさん。俺とイイコトしよーぜ」




安堵とか嬉しいとか、ほかに感じることはあるはずなのに。


そういう感情よりもさきに、哀しくて、泣きそうになった。





──────最悪だ、わたし。



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