東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
私なんてこの歳になって突然お金持ちになったけど、お金持ちの友達がいないから上流社会に入っていけないし。
入ったところで話も合わないだろうし。

この前のパーティは楽しかったけど、あれは氷室さんが一緒だったから特別。

お金の使い方だって、よくわからない。
いまの自分の最高の贅沢は、目立たない程度にブランド物を買うことと、おひとりさまで豪華な食事をとることだけだ。

そんなことを思いながら通りへ出て行く彼らの背中を見送って、
でも変なの、と叶星は首を傾げた。

『すまなかったな』

あんなふうに礼を言われるとは夢にも思っていなかったのである。



先日の査問会議のあと。
野呂が青い顔をして席に戻り、少しして副社長が会議室から出て来た。

その時の彼は無表情のまま何も言われなかったし、立ち止まるとか誰かに声をかけることもせずに、そのまま行ってしまった。

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