東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
派遣社員は担当者が窓口となる。この二人のように社外で会って連絡を取り合うのことは、普通にあることだろう。
だが、いま彼女と一緒にいるのは担当者ではない。専務だ。

『ヒムロス』のような大手で、担当者抜きに専務がいち派遣社員とふたりで会うだろうか?

そんなことを思いながら観察されているとも知らず、ふたりは楽しそうに話をしている。彼女の笑い声が、まるでここまで響いてくるようだった。

「仁の奴、自分の女を送りこんだのか」

東堂も同じ違和感を覚えたのだろう。
不機嫌にそう言い捨てた。

「まさか、彼は公私混同しないでしょう。でもまぁ知り合いですかね」

「手垢のついた他人か」
フンと鼻を鳴らした東堂は、視線を外して正面を向く。

――やれやれ。
手垢って。
まぁ、過去の恋人なら就職の斡旋くらいはするかもしれないか。
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