東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

『兎う堂』の副社長、東堂大毅は三十三歳である。
秘書の黒崎は、彼の二歳年上、三十五歳。

彼らが出会ったのは今から二十年前。
まだ子供の頃。青扇学園という、ちょっと特殊な学園での出会いだった。

学園に通うのは、東堂大毅のような資産家の子息令嬢と、黒崎のように学費無償に小遣い付きを餌に全国から集められた優秀な人材の大きく分けて二種類の学生がいた。
『ヒムロス』の専務氷室仁。彼もまた御曹司で、彼らと同じ学園の後輩である。

仁の年齢は黒崎の五歳下、東堂の三歳下。
学園のみならそれほど接点もなかっただろう。でも、三人とも同じ武道の道場に通っていた。
同じ師を持つ門下生。
先輩の大毅は、後輩の仁に手厳しい。

『あいつは今や女好きのろくでなしだ』
そう言って、はばからない。

"今や"と言うだけあって、どうやら昔は彼も東堂と同じように女の子に冷たかったらしい。が、その頃の氷室仁を黒崎は知らないので想像できなかった。

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