東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

それにしても、さすがに『兎う堂』が誇る御曹司。

TPOをわきまえてブランドの最新ファッションを身つけていたが、それがまぁよく似合うこと。彼を目にした女性たちがざわついたのも無理もないと思う。

――でも、中身は鬼。

雰囲気だけでも十分楽しめたし、鬼がいる場に長居は無用。
食べるだけ食べてさっさと帰ろう。
そう決めて、気持ちがすっきりしたところで、さあて、と化粧室を出た。



会場に戻ると、作られた雛壇では次のイベントが始まっていた。
テレビで見たことがある手品師が喝采を浴びている。

キョロキョロと見渡すと、いた。
女性たちに囲まれた氷室専務が見える。

不安だったら近くにいてねと、車の中で彼は言ったけれど、子供じゃないのだからくっついてもいられない。適当に楽しんで帰りますかと伝えてあった。

――氷室さんモテモテだ。
あれだけイケメンで気さくなのだから、モテるのも当たり前だわね。
そんなことを思いながら、更に見渡すと、

「あ」
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