東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

***

その後も野呂の細々とした尻拭いを続けながら、叶星の五月は過ぎ去った。

残すところあとひと月。

「叶星ちゃん、これ。ほとんど作っておいたから、あとお願い」

能天気な野呂の声にムッとして顔をあげると、部屋に入ってくる東堂副社長の姿が見えた。

広報課のあるフロアに彼が現れるのは珍しい。

うっかり視線が噛みあってしまいますます苛立ちが募り、心の中とはいえ罵り方も激しくなった。

このクズ社員をなんとかしなさいよ、クズ御曹司。
心の中でそう吐き捨てると、その不満が伝わったのか、東堂副社長は目を細めて叶星を見下ろしながら近づいてくる。

「おつかれ」

――おっと、危ない。触らぬ鬼に祟りなし。

おとなしく愛想笑いを浮かべ「おつかれさまです」と答えてからデスクに向き直った。

どうしてこの人は、顔を合わせる度にいちいち声を掛けてくるのだろう?

ほんとうに面倒くさい。
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