溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~

9.結婚式

家の近くまで帰ってきた私たちは入籍記念と言う事で外で食事をして帰る事にした。
注文を終えお酒で乾杯をする。
ごそごそとポケットを探り出てきたのはどう見ても指輪が入っているケース。


「えっ、大輝それ・・・。サイズ直しとかで三週間後じゃなかった?」


婚約指輪も結婚指輪も後日の受け取りだったような・・・。


「うん。あれとは違う指輪。あれは結婚式のお楽しみ。でも結婚したのに指輪無しって淋しいから。って言うか俺の独占欲の現れ?今日から李子は俺の奥さんだぞって。李子、左手出して。」


出した左手の薬指には結婚指輪に似たリングがはめられた。


「ピッタリ。いつの間に・・・。」

「ペアリング。俺にもつけて。」


レストランの中で指輪交換みたいで恥ずかしい。
大輝の指にもピッタリとその指輪はおさまった。


「李子、これからもよろしく。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」


二人で笑いあっているとちょうど料理が運ばれてきた。







式はSANグループの新しく出来る式場で行う事になった。
三月にオープンする予定だったその施設は私たちが思っていた小さめの式と気の使わないパーティーが出来るようになっている。

ちょうど宣伝用のパンフレットや動画などの撮影を考えていたらしく、『モデルで撮影したものでは無く自然な感じのものが本当はいいなー』と言う式場の責任者の意見を聞いたお義父さんが息子の結婚式はどうかと定例会議で名乗り出たらしい。

周りの社員達も『息子さんの結婚式!?』と驚きはしたがSANグループのトップからの提案はそのまま通った。

しかし会議後に秘書から『大輝さん達の意見無しで勝手に決めて良かったんですか?』と言われその晩、慌てて私たちの家までやって来た。


「大輝、李子ちゃんすまん。思わずお前たちの式はどうだ?と言ってしまった。嫌なら断るから言ってくれ。」

「はっ?親父・・・。」

「あの、とりあえず会場の様子とか私たちの思いに近いとこなら私は・・・。」


『李子ちゃーん、ありがとう。』とウルウルと目を滲ませ子犬みたいに喜ぶ姿は大会社のトップの人とは思えぬくらい可愛かった。

資料を見て式場を気に入った私達は招待客に撮影がある事を伝え全ての人が快く了承してくれたので、そこで式を挙げる事にした。

その後は小さい式とは言っても衣装合わせに式の後のパーティーの打ち合わせのため二週間に一度は出かけなくてはならず、慌ただしかった。

それに打ち合わせで顔を出した大輝を見て『苗字が同じだとは思っていたけど息子だったの!』と大輝の素性があっという間に知れ渡り、大輝の周りはだいぶうるさくなったようだ。

特に大輝を狙っていた一部肉食女子は『玉の輿!』と息巻いていたらしい。

大輝の指には(仮)結婚指輪が光っているのに・・・。
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