183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
厳しいことを言った柊哉だが、今度はラフな口調に変えて、優しく声をかける。

「姉さん、今度ふたりで飲みにいかない?」

「え……?」

家族での食事会は年に二、三度あるけれど、姉弟だけでどこかへでかけたことはない。

柊哉の誘いに響子は、驚いたように視線を交えた。

柊哉は初めて姉を、肉親だと感じていた。

響子の口から直接自分に対する本音を聞けたことが、よかったのだろう。

受け入れざるを得なかった者、受け入れてもらった者、立場は逆でありながらも等しい苦しみを味わってきたことに親近感を覚えた。

(俺と姉さん、案外、似た性格なのかもしれないな。血は争えないということか……)

「俺も姉さんが苦手だったよ。今なら歩み寄れそうな気がする。嫌だと思ったならその時に言わないと、という真衣の主張はもっともだが、過去には戻れない。姉さんのつらかった気持ちを今ぶつけてほしい。これ以上こじれる前に。俺も言うよ。長年押し殺していた家族への思いを」

微笑する柊哉を、響子は戸惑っているような顔で見つめている。

けれども、なにかを吹っ切ったように頷くと、少し笑って弟を揶揄する。

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