183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
(会うだけでいいっていう話だし、今日のところは大人しく付き合ってあげるか)

そう自分に言い聞かせ、真衣は腕時計に視線を落とした。

時刻は十四時を三分すぎている。

十四時という約束に遅れるとは、どうやら見合い相手も乗り気でなさそうだ。

無理もない。

祖父が初恋女性と再会してから孫同士を見合いさせようという話になり、この場が設定されるまで、十日もなかったのだ。

お互いの写真も交わしていないし、真衣と同様に相手も急すぎて心が追いつかないのだろう。

(そういえば、おじいちゃんの初恋の人、芹沢絹代(せりざわきぬよ)さんと言ったっけ。若い頃は美人で名高く、しかも名家のお嬢様だったって言ってたよね。今もお金持ちなんだろうか。ということは、私のお見合い相手も?)

真衣が頭に思い描いたのは、乙女漫画に悪役として登場するような、いけ好かない金持ち青年である。

実家の財力を武器に、なんでも自分の思い通りにいかないと気が済まない横暴な性格をして、贅沢な食生活で肥満体形になってしまったお坊ちゃま。

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