183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
真衣の勤める日葉(にちは)生命保険株式会社の取締役副社長を務めている。

医療保険の国内シェアは二位。生命保険に学資保険、個人年金保険など、様々な商品を取り扱い、従業員総数は五千人超えの名の知れた会社である。

日葉の会長が芹沢姓で、彼はその息子、いわば御曹司だ。

真衣は日葉生命保険本社の企画部に所属している。

企画部は重役の経営戦略をもとに新商品の開発や、従来商品の改定、企画を打ち出すので、真衣のような平社員であっても他部署より重役と接する機会が多い。

副社長の顔も、月に二、三度は見ている。

彼も真衣に気づくと、驚いた顔をした。

どうやら彼も、見合い相手の情報を詳しく聞かされていなかったようだ。

参ったな……と言いたげに目を逸らした理由と、真衣が『今一番会いたくない』と思った理由は、おそらく同じだと思われる。

(アレのせいで気まずい)

アレとは、三日前の退社前の出来事で――。

その日、デスクの真上の蛍光灯がチカチカと切れかけたので、真衣は地下の備品保管庫に取りに行くことにした。

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