183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
ここのところ、割と穏やかに暮らしていたのだが、今朝は些細なことで口論になった。

柊哉が早めに家を出ようとしたら、玄関にごみ袋が置いてあり、今日は可燃ごみの曜日だったと思い出した。

独り暮らしの時は当たり前のこととして、自分でごみ出しをしていたが、真衣と暮らすようになってからはやっていなかった。

真衣は、積極的に家事を引き受けてくれる。

洗濯だけは各自で行い、料理と掃除は彼女任せである。

残しておいてくれたら自分もやると柊哉が言っても、帰宅時にはあらかた終わっているのだ。

『光熱費と食費、そっち持ちだから、家事は私がやる。その方が気兼ねしなくて済むもの』

それが真衣の意見である。

ありがたいと彼女に感謝すれば、同時に申し訳ないという気持ちも湧く。

感謝と罪悪感は、だいたいセットで押し寄せてくる。

子供の頃から柊哉はそのような性格なのだ。

それを理解してのことではないだろうけれど、真衣は『柊哉のためじゃなく私のためにやってるの』と事あるごとに言ってくれる。

それで心は幾分軽くなり、助けられている気がしていた。

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